2014年度電子情報特別講義プログラム

 

    対 象 : 学部3年次,4年次および大学院生(単位は学部生のみ)

    内 容 : 電気工学・電子工学・情報通信に関する内外のトピックスおよび

           産業界の現状と将来,その他学生諸君の今後に役立つことなど

    日 時 : [後期]毎週火曜日4時限(午後2時40分から午後4時10分)

    講 堂 : 23号館301教室

    単 位 : 2単位;毎回、内容をレポート用紙[A4]1枚程度にまとめ提出する

    講 師 : 外部の大学,研究所,企業の著名な方々および

           第一線で活躍している卒業生  OB講師の募集について

第1回(9月23日・OB講演)・・・・・・講師:武尾 英哉氏 (神奈川工科大学

 コンピュータを使ったデジタル画像処理

 

 電子工学技術の進展に伴い,デジカメや携帯電話のカメラ機能など,多くのデジタル画像が普及してきました.本講義では,これらデジタル画像をコンピュータで美しくする表現方法,すなわちデジタル画像処理技術について解説します.一方,多くの病院では,すでに画像のデジタル化が進んでおり,医用画像工学という分野が確立されています.この分野で臨床応用されているデジタル画像の認識システムについても紹介したい思います.

第2回(9月30日・OB講演)・・・・・・講師:木田 雄三氏 (株式会社JPビジネスサービス

  電力の安定供給を陰で支える縁の下の力持ち ~電力系統解析について~

 

 私たちの生活で欠かすことのできない存在である電気。この電気を安定に供給するための設備である電力系統とはどのようなものか。今問題となっている電力供給も含めて紹介します。また、電力系統の計画・運用に必要な電力系統解析とはどのようなものか。解析ツールの一つである、リアルタイム・デジタル・シミュレータRTDSの紹介も含めて説明します。

第3回(10月7日)・・・・・・講師:大杉 功氏 (株式会社 テックスイージー

  熱電変換技術の現状と課題

 

 ゼーベック効果やペルティエ効果を利用して直接的かつ可逆的に熱・電気エネルギー変換を行う熱電変換技術は、特に震災以降注目されている。近年では基礎研究のみならず応用研究も活発に行われつつあるが、現状では実用上十分なエネルギー変換効率を得るまでには至っていない。この講義では、熱電変換研究の歴史的経緯、エネルギー変換技術としての現状、および今後期待される効果と解決すべき問題点について解説する。

第4回(10月14日)・・・・・・講師:小野山 泰一氏 (日産自動車株式会社

  電動車両 -EVとHEV-

 

 この特別講義では、最近注目されているハイブリッド車や電気自動車で使われている電動パワートレインの特徴をエンジンとモータの特性を考慮しながら説明します。次に日産自動車が1989年から進めてきた電気自動車開発の歴史の中から学んだことと、これから目指している電気自動車について説明します。ハイブリッド車については、なぜあんなに燃費を良くできるか、その謎に迫りたいと思います。いろいろなハイブリッド車について概説し、当社のオリジナルのハイブリッド車についても説明いたします。

第5回(10月21日・OB講演)・・・・・・講師:島倉 信雄氏 (独立行政法人海洋研究開発機構

  第一希望の会社に就職できないと人生負け組ですか?

 

 この講義では、当時「米国の国宝」と呼ばれていた外資系スパコンメーカーに就職した講師が、IT業界の熾烈な栄枯盛衰の物語から得た「人生を幸せに過ごすための会社選び」について説明致します。さらに目前に迫った就活に合わせて、就活の必殺テクニックをお伝えします。

第6回(10月28日・OB講演)・・・・・・講師:独古 康昭氏 (株式会社スパンション・イノベイツ・デザイン)

  世界の半導体動向と生き残りをかけた日本の半導体

 

 止まらないコストと性能要求による微細化技術の熾烈な競争およびそれを実現するために必要な工場への大規模投資という課題を抱える半導体業界。携帯電話や自動車などを含む世界の電子機器産業を支えている半導体部品を最新の半導体業界情報を基に今後の動向を予測する。また、日本国内各社の生き残りをかけた半導体事業展開を紹介し、グローバルな視点での産業構造の変遷を説明する。

第7回(11月4日)・・・・・・講師:須川 賢洋氏 (新潟大学

  最新の知的財産制度とサイバー関連法

 

 IT/ICT技術の発達によって情報セキュリティの必要性が高まった結果、今、我が国の著作権制度やサイバー法制は激変期にある。本講ではITエンジニアとして、また、ネットユーザとして知っておくべき、著作権法をはじめとする知的財産制度やサイバー関連の法律を解説する。講義では最近起きた事件をできるだけ取り上げることとし、論文の剽窃問題や、企業からの営業秘密の漏洩事件等を例に解説する。

第8回(11月11日・OB講演)・・・・・・講師:橋本 晃邦氏 (株式会社NHKメディアテクノロジー

  あなたの知らない テレビの裏側にある技術!

 

 テレビ番組を制作する過程で一般の視聴者が知らない番組制作に必要な放送局の様々なシステムや設備を紹介する。また大規模災害に有用な衛星伝送に関して、衛星回線設計の基礎について講義する。(1)緊急報道やスポーツなどLive中継の基本、(2)災害や事件など緊急報道で使用される設備、(3)特殊な機材の紹介、(4)衛星回線設計の基礎

第9回(11月18日)・・・・・・講師:高橋 秀典氏 (トヨタ自動車株式会社

  トヨタにおけるハイブリッド技術の現状と将来

 

 この特別講義ではプリウスに代表されるハイブリッド車の誕生の背景に触れた上で、技術の集合体であるハイブリッド車に使われている様々な技術と、それぞれを組み合わせることによって実現している性能について説明し、エンジニアとして必要な技術領域を知るきっかけにして頂きたいと思います。また、モビリティーの将来像、その実現の為に必要な技術や取り組みにも触れていきます。

第10回(11月25日)・・・・・・講師:林 義一郎氏 (電源開発株式会社

  電力システム改革時代の競争力を意識した電力設備の寿命と異常の診断技術

 

 発電および小売りの全面自由化を含む電力システム改革が進み、大競争時代が予想されている。ここでは筆者が所属している電源開発株式会社で開発している、電力流通における変電設備や純国産エネルギーである水力発電設備の寿命診断や異常診断技術について概説する。講義の中では,電気部門および機械部門の電機屋として必要となった経験則も交えながら説明する。

第11回(12月2日・OB講演)・・・・・・講師:鈴木 順夫氏 (サクサ株式会社

  映像監視システムおよびオフィス向けネットワークセキュリティの市場動向、技術、製品紹介

 

 映像監視システムはIP系のネットワークカメラへの移行が進み、画質も大幅に改善し、画像解析技術も進化しています。また、インターネットを取り巻く環境は、予てから脅威にさらされており、企業を狙った標的型攻撃も年々増加し、個人情報流出などの被害が後を絶ちません。本講義では、今後の伸びが期待される映像監視分野とネットワークセキュリティ市場について、市場動向、商品展開などを紹介します。

第12回(12月9日)・・・・・・講師:佐藤 康治氏 (日産自動車株式会社

  IT/ITS開発の紹介

 

 日産自動車では、「安全」,「環境」を重要技術領域と位置づけ、新技術の開発および商品化を進めている。IT/ITS分野での日産の安全・環境への技術開発の取り組みについて、最新の動向や実証実験の成果等を交えながら紹介する。

第13回(12月16日)・・・・・・講師:加賀 義隆氏 (NPOポートフォリオインテリジェンス

  社会システムを変えるエンジニア~ソーシャルエンジニアの活躍

 

 今、社会は広い視野で考えられるエンジニアが必要である。エンジニアの基本能力(論理的思考力、定量的分析力、創造力)は、物作りだけでなく新たな社会システムの実現にも必要であり、学生がそれを在学中に知ることは重要である。本講義では、講師の航空機整備エンジニア、情報システム開発推進者の経験から、エンジニアの基本能力の重要性を述べる。また、エンジニアが営業部門で活躍できる領域を、講師の経験から紹介する。

第14回(1月13日)・・・・・・講師:岡田 仁志氏 (国立情報学研究所

  ビットコインが未来の通貨体制を拓く ―分散技術VS国家権力―

 

 ビットコインは中央銀行の裏づけのない分散型の仮想通貨です。これまで通貨高権は国家が独占するのが当然とされていましたが、分散技術と認証技術の応用によって発行者の存在しない通貨が実現しました。各国政府はいま、規制のできない仮想通貨への対応に迫られています。本講義は仮想通貨の仕組みの面白さを解説し、あらゆる応用の可能性を考察します。そして、未来の通貨制度を展望し、国家によらない通貨発行の功罪を論じます。

第15回(1月20日・OB講演)・・・・・・講師:輪島 章司氏 (富士通株式会社

  ソーシャルイノベーションへの挑戦

 

 今までICTを使ってこなかった分野に、新たにクラウドやモバイルのICT技術を活用しサービスを提供することで、お客様のイノベーションを後押しし、市場に対し新たな価値の創出が可能となります。今回は、農業や動物医療分野へのICT適用事例をまじえ、ビジネスの考え方や、SEとしてのサービス品質・サービス提供の考え方などをお話させていただきます。今後の仕事選びの参考としてください。